熊本バス・鉄道5社「交通系ICカードやめます」 停止は年内予定、公共交通の運賃収受は本当にこれでいいのか?【連載】ホンネだらけの公共交通論(17)
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熊本県内の路線バス事業者5社は、バスと熊本電鉄電車の運賃支払い方法として、2024年内までに全国交通系ICカードの使用を廃止し、代わりにクレジットカードなどのタッチ決済を導入する方針を固めた。本当に大丈夫なのか。
硬貨の重要性再評価

熊本にも
「せっかく全国交通系ICカードに慣れたのに」
という人が少なからずいるだろう。ただ、公共交通事業者の経営的な窮状は理解しているので、一概に批判はできない。
筆者は前回の連載記事「路線バス問題だけじゃない! なぜ日本では「移動の自由」に関する真剣な議論が起こらないのか」(2024年5月30日配信)で、誰もが自由に移動できる権利
「移動権」
について書いたが、その観点から見れば、デジタル化、キャッシュレス化が進めば進むほど、
「公共交通から排除され、移動権すら持てない人」
が増えていくことになる。
・貧困をなくそう
・飢餓をゼロに
・すべての人に健康と福祉を
・質の高い教育をみんなに
・ジェンダー平等を実現しよう
・安全な水とトイレを世界中に
・エネルギーをみんなに そしてクリーンに
・働きがいも経済成長も
・産業と技術革新の基盤をつくろう
・人や国の不平等をなくそう
・住み続けられるまちづくりを
・つくる責任 つかう責任
・気候変動に具体的な対策を
・海の豊かさを守ろう
・陸の豊かさも守ろう
・平和と公正をすべての人に
・パートナーシップで目標を達成しよう
というSDGs(持続可能な開発目標)が世界的に問われるなか、誰ひとり取り残さないためのユニバーサルデザインの理念も重要になってきているのだ。硬貨はアナログだが、
「真に万人に開かれたもの」
である。全国で使える交通系ICカードを管理するのが経営的に難しいのであれば、せめて硬貨だけでも残しておいたらどうだろうか。
国土交通省もキャッシュレス化の検証・評価を重要視しているが、ユニバーサルデザインの重要性を考え、移動権の観点から、地域でどの決済手段が重要なのかを議論してもらいたい。