廃止を避けるために減便も 危ぶまれる地方交通、北海道「沿岸バス」に乗って体感してきた

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全国で廃止が続く路線バス。廃止を避けるために更なる減便が求められているのが現状だ。今回は、北海道北部の現状から路線バスの今後を考える。

廃止を避けるための減便

留萌旭川線の始点・留萌十字街バス停と旭川市の位置関係(画像:(C)Google)
留萌旭川線の始点・留萌十字街バス停と旭川市の位置関係(画像:(C)Google)

 また、補助金を前提にした運行は政策に左右される。

 国土交通省が2017年、赤字バス路線の補助金の上限額を引き下げる案を示し、各地の事業者に衝撃が走った。それまで補助率は45%で、そこに市町村やバス会社が穴埋めをしていたのだが、40%と大幅に引き下げるとしたのだ。

 背景には交付額の増加があった。2011(平成23)年度に全国で約72億円だった総額は、2016年に約92億円へと増加し、その後も上昇傾向が想定された(『十勝毎日新聞』2017年4月17日付)。

 加えて、補助金の交付には運行状況の審査もある。需要と供給が見合わない場合、交付額は減額され、廃止を避けるためにさらなる減便が求められる。

 沿岸バスで需要が高いのは、道北バス(旭川市)と共同運行する留萌旭川線だ。旭川市内への通院・通学者の利用が多い路線だが、それでも2018年度の利用者数は前年度比12%減の11万2600人で、

「減便しないようにするのが精いっぱい」

と、報じられている(『北海道新聞』2019年11月21日付朝刊)。

 なかでも運行経費を上昇させているのが人件費だ。運転手不足は慢性的で、要員確保のためには賃金アップもやむを得ない。バス会社が背負いきれない部分は沿線市町村が負担する。

 一例を挙げると、前述の豊富町に隣接する幌延町(ほろのべちょう)はバス会社への補助金を「公共交通対策管理費」とし、町議会で答弁によれば、2017年に597万2000円を支払っている。その額は人件費増もあり、年々増加している。

 こうした路線のある市町村はどこも過疎化が進んでいる。ゆえに、補助金による路線維持も万全ではない。北海道に限らず、赤字バス路線は公金でギリギリ支えられているにすぎないのだ。

 このまま維持できると考えている人は皆無だろう。過疎化の進む地域にこれからも人が住み続けるのか、もしくは住居の移動も含めた抜本的計画が今後練られていくのか――交通を通して見える地方の風景には、課題と希望が常に共存している。

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