自転車ヘルメットの着用率わずか14% 「ダサいから被らない」は全然間違っていなかった! 努力義務化1年で考える
2023年4月の自転車乗車時のヘルメット着用義務化から1年が経過した。しかし、自転車利用者のヘルメット着用率はまだまだ低い。その背景には何があるのだろうか。
義務化の効果と課題

こうした状況を踏まえて、行政の対応も進んでいる。2024年3月に東京都教育委員会は、4月から都立高校の自転車通学者にヘルメット着用を義務付けるよう各校に通知した。
都教委によれば、自転車通学をしている生徒は全体の約45%にあたる約5万5000人だ。しかし、2023年実施された生徒へのアンケートでは、そのうちわずか
「5.5%」
しかヘルメットを着用していないことが明らかになっている。
着用義務化が事故を軽減することは明らかだ。福岡大学の鈴木裕介氏の論文「自転車運転時のヘルメット着用義務化による社会的費用の削減効果に関する一考察」(『交通学研究』第64号)では、着用義務化による事故被害の軽減効果が試算されている。
18歳以下および75歳以上の自転車運転者に限定した場合、現行の努力義務下での被害軽減効果は年間8.73億円だったのに対し、義務化した場合は81.29億円に上ると算出された。鈴木氏は論文のなかで、
「高校生は通学などで比較的長距離を運転する機会も多く、現状でも事故による重軽傷被害はほかの年齢層よりも多い。そのため高等学校でいかに通学時にヘルメット着用を生徒に促すか、またはルール化するかを高等学校教育の中でも議論すべきではないかと考える」
と指摘している。