環境団体&自動車団体の間で板挟み! 次期排ガス規制案「ユーロ7」の行方が全然見通せないワケ
自動車の大気汚染物質に関する新たな排出基準を定めた新規制ユーロ7が3月中旬、欧州議会で賛成297票、反対190票、棄権37票で採択された。今後何が変わるのか。
ユーロ7の主な変更内容

ユーロ7のユーロ6からの大きな変更点は、次のとおりだ。
・排出ガス規則の統合
・排ガスに含まれる粒子の検出粒径下限値の変更
・自動車のコンポーネントシステムの耐用年数の設定
・ブレーキ時に排出される汚染物質排出規制
排出ガス規則の統合により、これまで乗用車・小型商用車(バン)と大型車(トラック、バス)で別規則だったのを、ユーロ7でひとつの規則に統合し、車種ごとの排出基準などを定めた。ただ、規則を統合したものの、排ガスに含まれる汚染物質の排出測定限界値は、ユーロ6から変更がない。この点が、環境保護団体の第一の不満となった。
排ガスの汚染物質の排出測定限界値は変更しないものの、粒子数(PN)検出の粒径の下限値を現行の23nmから10nmに引き下げた。これにより、今まではスルーしていたより小さな粒子まで規制の対象となる。
自動車のコンポーネントシステムの耐用年数の設定に加え、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)の場合、バッテリーの寿命が設定される。5年または10万kmでの容量が元の80%、8年または16万kmでの容量が元の72%が下限値となる。現在多くの自動車メーカーでは、
「8年、16万km、容量70%」
の保証を採用しており、現状に合わせた形といってもよいだろう。
ブレーキ時に排出される汚染物質の排出規制は、ユーロ7ではパワートレイン別に定められている。EVのPM10(10マイクロメートルの粒子状物質)制限値は3mg/km、EV以外は7mg/kmとなる。