環境団体&自動車団体の間で板挟み! 次期排ガス規制案「ユーロ7」の行方が全然見通せないワケ
自動車の大気汚染物質に関する新たな排出基準を定めた新規制ユーロ7が3月中旬、欧州議会で賛成297票、反対190票、棄権37票で採択された。今後何が変わるのか。
ユーロ7実施に向けて残された課題

3月に採決されたのはあくまでも制限値を定めた一次立法にすぎず、詳細はこれから決めるという。自動車工業団体によると、適用開始までのリードタイムが確保できたものの、依然として技術面、資金面での課題が残るという。
ブレーキ粉じんの粒子状物質(PM)排出試験は、国連による国際試験方法GTR No.24に基づくとされているが、詳細は未定だ。またPM10制限値は、ユーロ7ではパワートレイン別に制限値を設定しているものの、2035年からは一律3mg/kmとなる予定。さらに2030年から追加の粒子数制限値が設定される計画もあるが、詳細は決まっていない。
このほか、ユーロ7では、走行距離計、噴射システム、排ガスシステムの制御ユニットを外部から操作できなくする仕組みが必要であるが、もちろん実施規則は決まっていない。排出超過を検出するオンボード監視システムの搭載も規定されているものの、もちろんその要件は未定だ。
一部の自動車メーカーやサプライヤーは間に合うとしているが、本当に実装に間に合うのかという懸念が残るのが現状だろう。