暴行・性犯罪発生で「容疑者画像」公開 電車内犯罪が相次ぐロンドンで注目すべき対策とは
ロンドン地下鉄と防犯カメラ

地下鉄やバスなどを運営するロンドン交通局の直近の犯罪の件数を見てみよう。
2020年4月から1年間の管轄内の犯罪は1万9521件だった。主なものは、窃盗6076件、暴行7959件、強盗行為1297件、性犯罪754件、器物破損1631件、ヘイトクライム1476件である。
しばしば老朽化が問題になるロンドンの地下鉄は1863年に世界に先駆けて開通。2021年1月時点で電車が620本あり、11路線のうち8路線を走行する413台、66.6%に防犯カメラが設置済みである。テロをきっかけに設置が進んだとされ、東京のようなホームドアはほとんど見かけない代わりに「CCTVカメラ動作中」のステッカーはよく見かける。
設置されていない3路線の中で特に問題になっているのが、東京の銀座のような高級店が立ち並ぶボンドストリートなどを通るセントラルラインである。8両編成で85本あるのだが、パンデミックによる一時中断もあり、当初の計画より遅れて2022年春から2025年末にかけて設置される予定である(2021年10月27日付、『MyLondon』)。
防犯カメラ設置はセントラルライン改良計画の一環であり、電力系統の改善などとまとめて行われるもの。電車を完全に止めて作業を行う必要があるが、運行本数を減らさないためには少しずつ間引いて対処するしかなく、完了まで時間がかかると副市長が説明している。
この路線は性的暴行の発生件数が飛び抜けて高く、パンデミック前には全体の24%を占めていた。それは防犯カメラが無いためだと考えられている(2019年3月28日付、『BBC NEWS』)。
ロンドンの場合、防犯カメラは抑止力としてのみ効果があるわけではない。暴行や性犯罪、ヘイトクライムなどが発生した場合、容疑者の画像公開が行われているのだ。
英国交通警察のウェブサイト、2022年2月現在約18万人のフォロワーを抱えるツイッター、5万人のフォロワーのインスタグラムを中心に、内容によっては『MyLondon』など地元民に広く知られたサイトなどにも掲載されている。
犯行日時や内容の記載とともに、カラーで大きな画像が公開される。ものによっては驚くほど鮮明で、複数枚掲載されるのだが、知人であれば一発で分かるほどの画質である。目撃者や知人などに、通常の電話のほか、匿名電話やテキストメッセージでも情報提供するよう呼び掛けている。