新宿アルタも来年終了! なぜ近年「駅前ファッションビル」は相次ぎ閉館しているのか? かつては若者文化の拠点だったのに

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1970年代、大都市のターミナル駅前ではファッションビルが開発された。特に女性をターゲットに、トレンドをリードする存在となった。しかし、現在では次々閉店している。なぜだろうか。

新宿アルタの軌跡

新宿アルタ(画像:写真AC)
新宿アルタ(画像:写真AC)

 JR新宿駅東口駅前のファッションビル「新宿アルタ」が2025年2月末に営業を終了することが決定した。

 新宿アルタは1980(昭和55)年のオープンで、2024年で44年の歴史がある。新宿通りを挟んだビル向かいの広場「アルタ前」は待ち合わせ場所としても利用され、ともに日本最大の乗降客数を誇る巨大ターミナルJR新宿駅東口の顔として長年親しまれてきた。利用したことがある人も多いだろう。

 当初、ビル内にはイッセイミヤケなどのアパレルブランドやアパレルチェーン、服飾雑貨、アクセサリーのテナントに加え、地下と上層階にはマクドナルドや銀座コージーコーナーのほか、さまざまな飲食チェーンテナントが数多く入居していた。若者をターゲットにしていたが、渋谷のファッションビルなどと比較するとトレンド感は薄かったといえる。特筆されるのは、当時の商業施設としては斬新な機能を多く導入していたことだ。

 7階にあった「スタジオアルタ」はテレビメディアの収録が行われた多目的スタジオで、フジテレビ系列のお昼の人気番組「森田一義アワー 笑っていいとも!」の公開収録で一躍有名になる。笑っていいとも!のオープニングではアルタ前にいる人たちが映し出されたことから、その時間帯に多くの人がアルタ前に集まるようになった。この収録によって新宿アルタは全国に名が知れ渡り、東京名所のひとつとなったといえる。

 また、アイキャッチにもなっているビル前面の「アルタビジョン」は屋外大型ビジョンのはしりである。大型ビジョンの上には1995(平成7)年から広告スペースが設けられた。1階エントランス部分は「デートプラザ」と呼ばれ、2階のアルタビジョン下のバルコニーステージと連動し、タレントを起用した街頭イベントを実施した。施設内でイベントをするのではなく、人通りの多い東口駅前に向けて情報発信することにより、多くの人眼にとまった。

 名称の「アルタ」は「オルタネイティブ」からきており、

・取って代わるもの
・次にくるもの

という意味がある。三越とフジテレビがタッグを組み、ファッション、飲食、情報発信を柱として、今までにない新しい複合施設を目指した。今では珍しくないが、商業施設とテレビメディアが融合した先駆的事例である。ビル全体がプロモーションツールとして機能し、その情報発信力により強い求心力を持っていた。

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