全国4300店の「花キューピット」が、設立たった3年のEVベンチャーとタッグを組んだワケ

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戦後間もない日本で創業した「花キューピット」が、新進気鋭のEVベンチャーとタッグを組んだ。果たしてその狙いとは?

両社協業が描く未来社会とは

「花キューピット」のウェブサイト(画像:花キューピット)
「花キューピット」のウェブサイト(画像:花キューピット)

 生花の配達サービスで知られる花キューピット(東京都品川区)が、2019年設立のEVメーカーHW ELECTRO(同江東区)と協働の事業戦略を展開している。2022年2月17日(木)には「EVによって変革される社会の実現」と題したHW ELECTRO主催のトークセッションに登壇。果たしてその狙いとは――?

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「私たちのビジネスモデルは『今日注文して今日届く』という点が特長。近所の生花店が届けるのでCO2の排出減にもつながっている。今後、配達時の“ラストワンマイル”をEV車に置き換えられれば、さらなるCO2排出抑制を実現できる」

 オンラインで行われたトークセッションの冒頭、花キューピットの吉川登社長はそう強調した。

昭和28年誕生、歴史ある老舗

2022年2月17日に行われたトークセッションの様子。左がHW ELECTROの蕭偉城社長、その隣が吉川社長(画像:Merkmal編集部)
2022年2月17日に行われたトークセッションの様子。左がHW ELECTROの蕭偉城社長、その隣が吉川社長(画像:Merkmal編集部)

 同社の歴史は戦後間もない1953(昭和28)年までさかのぼる。

 当時日本に駐留していた米兵から「母国へ花を贈りたい」と依頼を受けたことをきっかけに、遠隔地へ生花を贈る通信配達システムを国内で初めて立ち上げた。当初の加盟店の数は全国で8店だった。

 生花通信配達システムとは、利用客から注文を受けた加盟店が、届け先の最寄りの加盟店に注文内容を連絡し、最寄り加盟店が注文の花を自店でつくり、届け先まで配達するというもの。

 現在のような物流ネットワークなどない70年前に誕生したサービスは、CO2排出抑制や地産地消といったSDGsの観点から見て、現代の価値観にもかなう仕組みを備えていることが分かる。

 花キューピットの加盟店は2022年現在、全国でおよそ4300店。同社は、遠距離の配送を行わず届け先近くの加盟店から配達することにより、1年間で約142.3トンのCO2の排出を抑制したと試算している(2020年4月~2021年3月、注文店舗から配送店舗までの直線距離を、軽油10トントラックで輸送した場合)。削減した距離は、同じく1年間でおよそ5.4億kmに上るという。

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