トラックドライバー「10%賃上げ」は現実的か? 基本給を低く抑える“給与体系”が生み出す運送業界の歪みとは
政府は、トラック運転手の賃金を約10%引き上げることができると想定している。この目標は本当に現実的なのだろうか。
恩恵が感じられない令和バブル

日経平均株価は平成バブル期の高値を超え、目下4万円前後で推移しており、このような数字だけを見ると経済は好調に見えるが、流通の末端に位置する物流業界からは、その恩恵を感じ取ることは難しい。
本来、好景気になれば個人消費が活発になり、物流量が増え、トラック運送業の業績もアップするはずである。
実際、財務省の法人企業統計で「陸運業」の売上高の推移を確認すると、1980年代半ばから始まる平成バブル期には、7年ほどの間で陸運業の売上高が2倍近く増えるなど、物流業界も大きく恩恵を受けていたのである。
ところが、近年の経済状況は、これとは様相が大きく異なる。トラック運送業の主たる荷主業界は食品、日用品メーカーや農林漁業などの内需系産業であるが、これら産業は、
・輸入原料の高騰
・個人消費の低迷
の影響を受け、必ずしも好調ではない。この結果、トラック運送業の業績は決して好調とはいいがたい。
前述の法人企業統計から、過去10年間程度の陸運業の売上高の推移を見てみると、わずか1割程度しか増えていない。このように、景気拡大の恩恵が物流に波及しないのが、令和の時代の「バブル景気」の実態だといえるかもしれない。
ドライバーの賃上げはぜひとも実現してほしいところだが、道のりは平たんではない。賃上げの前提として、トラック運送の積載率を高めるといった地道な生産性向上とともに、経済全体の底上げが必須だということを改めて強調しておきたい。