トラックドライバー「10%賃上げ」は現実的か? 基本給を低く抑える“給与体系”が生み出す運送業界の歪みとは
政府は、トラック運転手の賃金を約10%引き上げることができると想定している。この目標は本当に現実的なのだろうか。
一筋縄ではいかない賃上げ

まず、産業界では賃上げが急速に進んでいるという事実は抑えておきたい。
目下、春闘の回答が出そろいつつある状況だが、連合のデータによれば、大手製造業の賃上げ回答は例年にない高い水準である。特に自動車、電機、金属等の業種はおしなべて好調であり、なかには労組の要求を超える回答を提示する企業も出てきている。
例えば日本製鉄は、「月3万円」という労組の要求を超える
「月3.5万円」
の賃上げを回答しているのである。ちなみに、この日本製鉄のケースを金額ではなく賃上げ率で見ると、約14%の賃上げに相当する。
このような数値だけを見ると、トラックの「10%賃上げ」というのも、現実的な水準に見えるかもしれないが、結論からいえば、やはりトラック業界の賃上げは一筋縄ではいきそうにない。
表は春闘の回答状況のうち、陸運系の主要企業のデータを抜粋したものだが、この業界の賃上げの難しさの一端がうかがえる。労組の要求自体が製造業大手に比べるとかなり控えめであるうえ、会社側の回答は
「満額回答にはほど遠い」
のである。