中国は信用できないから「台湾有事」は起きる、という説は本当か? 冷静に歴史を振り返ってみた

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台湾有事を語る際によくいわれる「中国は信用できない」は本当か。歴史を冷静に振り返る。

「信用できない」という反論

台湾空軍のF16V戦闘機。台湾南部・嘉義。2022年1月05日撮影(画像:時事)
台湾空軍のF16V戦闘機。台湾南部・嘉義。2022年1月05日撮影(画像:時事)

 台湾有事は荒唐無稽である――。筆者(文谷数重、軍事ライター)は先日、当媒体に「中国が台湾を軍事侵攻? よくある台湾有事論が「単なる妄想」である3つの理由」(2024年3月13日配信)という記事を書いた。米中は現状維持で一致している。台湾も現状維持を受け入れている。最大の危険因子である台湾独立は日米が抑止しているからである。

 その結論に

「中国は信用できない」

との反論が多く寄せられた。中国は約束を守らない。機会主義(状況の変化に応じて行動する考え方)であり相手のスキがあれば侵略する。好戦的であり戦争をちゅうちょしない。そのような内容である。

 この反論は妥当だろうか。

 誤りである。「中国は信用できない」は実態とは異なっている。第一には中国は自らの約束を守っている。第二に大義名分を重視している。第三に戦争そのものに慎重である。それからすれば台湾海峡の現状維持は覆さない。やはり台湾有事は遠いのである。

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