中国が台湾を軍事侵攻? よくある台湾有事論が「単なる妄想」である3つの理由

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台湾有事論は、日本の防衛力増強の根拠でもある。防衛費の増額と敵地攻撃能力は必要である。その理由として、「台湾有事は日本有事」という脅し文句とともに取り上げられている。だが本当なのか。

安定した台湾海峡

台湾空軍のF16V戦闘機。台湾南部・嘉義。2022年1月05日撮影(画像:時事)
台湾空軍のF16V戦闘機。台湾南部・嘉義。2022年1月05日撮影(画像:時事)

「台湾有事論」が話題になっている。中国による台湾への武力行使、軍事力による回収は間近い――といった議論である。

 台湾有事論は、日本の防衛力増強の根拠ともなっている。防衛費増額や敵地攻撃能力が必要である。その理由として

「台湾有事は日本有事」

とのあおり文句とあわせて取り上げられている。

 この台湾有事論は本当の話なのだろうか。

 いうまでもなく、全くの空中楼閣(根拠のないこと)である。台湾海峡は構造的に安定している。米中と台湾に加えて日本が現状維持で一致している。そのために台湾有事は起こり得ないのである。

米中は現状維持

 第1に、米中は台湾問題では現状維持で一致している。これは1979年1月の米中国交正常化での合意である。以降も今日に至るまで双方とも合意を守っている。

 米国は一中原則つまり「ひとつの中国」を受け入れた。中国はひとつであることに合意し、ただひとつの合法政権として中華人民共和国を承認した。台湾は中国の一部であり国家ではないことを認めた。

 引き換えに中国は台湾に武力行使をしないことを宣言した。1979年の「告台湾同胞書」で

・台湾支配地域への攻撃をやめること
・武力による回収もしないこと

を約束した。そして発表日当日に金門島への砲撃も停止した。

 ちなみに、中国は1958年以降、台湾支配領域に攻撃を仕掛けていない。例外は金門砲戦だけだが、それも火薬を抜いた砲弾を山に撃ち込むセレモニーであった。その後の戦いは台湾側が一方的に中国に攻撃を仕掛けた形である。

 この合意により台湾有事は、ほぼ起きなくなっている。中国は米中合意により台湾の武力回収を自ら封じているからである。

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