中国は信用できないから「台湾有事」は起きる、という説は本当か? 冷静に歴史を振り返ってみた

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台湾有事を語る際によくいわれる「中国は信用できない」は本当か。歴史を冷静に振り返る。

平和五原則を守った中国

 第一に、中国は自らの約束を守る。1949年の新中国成立以降、相手国との合意や自らの宣言はないがしろにしていない。

 これは戦争でも変わらない。

 好例は1962年の中印紛争である。インドによる侵略では、まずは流血回避で対応した。後の反撃も限定反撃とした。

 インドの政策は国境前進主義である。ゴア併合のように領土・国境問題は軍隊での解決を基本としている。

 中国との国境問題も同様の解決を図っていた。1950年代から中印境界線で武装侵入を繰り返したのである。

 これに対し、中国は流血回避と交渉解決の方針で臨んだ。1954年にインドと合意した「平和五原則」に基づく対応をとった。

 しかし、それはインドを増長させた。「中国は台湾問題や米国との対立を抱えている。だから強くはでられない」と判断してかえって侵入を強めたのである。

 そのため中国は反撃を決意した。1962年8月にはインドによる蚕食(さんしょく。片端から次第に他の領域を侵略すること)は100地点を超えた。10月17日からは2万人規模で越境侵入を始めた。これに対し20日から反撃を始めた。

 ただ、その際にも戦争による領土問題の解決は図らなかった。目的を境界線復旧に絞った限定反撃にとどめた。

 実際に中国は圧勝したが占領地区を自国領域とはしなかった。11月22日には自発的に停戦し、12月1日からは一方的撤退を始めた。進出線から20kmほど後方にあたる1959年の境界線まで軍を下げた。

 戦争でも「平和五原則」を守った形である。領土的野心は持たないこと。国境確定は軍事力によらないことを示した。

 なお、朝鮮戦争やベトナム戦争でも約束を守り通している。北朝鮮を、北ベトナムを救うために自国経済が厳しいなかでも人員、武器、食料の援助を続けた。

 これは何を意味するか。

 中国は約束を守るということである。確かに中国は仮想敵国である。ただ、同じ仮想敵国であった旧ソ連やロシアのように約束は軽んじない。てのひら返しが“国技”のインドのような信用できない国ではない。

 その点で「中国は約束を守らない」との批判は根拠を欠く。「台湾が独立を宣言しない限り武力行使はしない」との約束は信用してよい。

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