中国は信用できないから「台湾有事」は起きる、という説は本当か? 冷静に歴史を振り返ってみた

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台湾有事を語る際によくいわれる「中国は信用できない」は本当か。歴史を冷静に振り返る。

戦争には慎重

 第三は、戦争にはむしろ慎重なことである。中国は戦争のリスクを重視している。エスカレーションで事態収拾ができなくなる。戦争によりかえって状況が不利となる。それを警戒している。

 これは1968年末の珍宝島事件が示すとおりである。

 1960年代のソ連もまた中国国境の蚕食を図っていた。国境横断や挑発行為を常態化させておりその件数は1964年10月以降でも4189件に及ぶ。新疆では民族問題の扇動を進めており1962年の伊塔事件では地方騒乱を引き起こした。

 そのため、中国は黒竜江省にある珍宝島での反撃を決意した。

 ただ、その際も全面戦争への拡大防止を最優先した。勝利や国境問題解決よりも事態のコントロールを重視した。

 報復の受容はその象徴である。事件の半年後にソ連は報復として新疆自治区の鉄列克堤、テレクテイで中国領内への本格襲撃を実施した。しかし、中国は報復に対する再報復は控えた。

 逆に全面戦争の回避と交渉再開をもって勝利とした。周恩来・コスイギン会談の実現と現状維持の合意をもって目的達成としたのである。

 つまり「中国は好戦的」との見方も誤りである。戦争にはむしろ慎重である。確かに中国には民主主義はない。自由や人権といった普遍的人権の概念も薄い。だからといって好戦的であるわけではない。

 また、台湾問題でも武力回収のリスクを重視する。なによりも日米の介入の可能性を警戒している。両国が参戦すれば台湾解放は困難となる。また両国の承認により台湾独立が促進完成する危険もある。そうなると台湾省が中国領域から永遠に離脱してしまうのである。

 これも台湾有事を非現実的とする材料である。

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