EV失速とハイブリッド回帰! そんなときこそ、本当のクルマ好きは「EV」について熟考すべきだ

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EVの普及は夢物語では終わらない。昨今のHV人気の再燃を理由にEVシフトを疑問視する意見を、今一度否定する必要がある。

日本のEV戦略の展望

2024年2月27日発表。主要メーカーの電気自動車(BEV/PHV/FCV)販売台数推移(画像:マークラインズ)
2024年2月27日発表。主要メーカーの電気自動車(BEV/PHV/FCV)販売台数推移(画像:マークラインズ)

 こうした海外メーカーの動きを前に、日本の自動車産業が対抗する手段は開発投資である。日本車が海外で高い評価を得ているのは、言うまでもなくその性能と品質の高さである。故障が少なく、長寿命という消費者の最も重要なニーズを満たすことで、信頼を勝ち得てきた。

 EVシフトが遅れているといわれる日本メーカーだが、日本車への信頼は衰えていない。そのなかで、低コストで信頼性が高く、故障の少ないEVをどこまで追求できるかが勝負の分かれ目となる。日本メーカーが既存モデルの利益をEV関連の開発に投資する動きは正しい。

 EV関連の有望な開発はいくつかある。ひとつは、トヨタやソニーグループなど日本の大手企業8社が設立した、次世代半導体を日本で生産する合弁会社「ラピダス」だ。同社は北海道千歳市に工場を建設中で、2027年の本格量産開始を目指している。

 また、EVにとって重要な電池の技術開発も進んでいる。EV用電池の世界シェアは中国と韓国が大半を占めている。日本車がEV市場で勝ち抜くためには、日本での生産能力増強が不可欠である。

 日産自動車は、ニッケルなどの高価な材料を使用しない新興国向けリチウムイオン電池を自社生産するための研究開発を進めている。トヨタも日本政府の支援を受けて国内生産能力を拡大している。前述の全固体電池は、10分以内の充電で1200kmの走行ができるものが、2027年から2028年に実用化される見込みだ。

「ものづくり」で世界の信頼を勝ち得てきた日本が、再び力を取り戻すチャンスである。日本逆襲のときだ。しかし、長期的にはEVが主流になる。この点をしつこく強調したい。HV回帰の流れにある今だからこそ、風見鶏のようにHV礼賛派になってはいけない。HV回帰の今こそ、ホンモノはEVについて、未来について冷静に熟考するのである。

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