EV失速とハイブリッド回帰! そんなときこそ、本当のクルマ好きは「EV」について熟考すべきだ

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EVの普及は夢物語では終わらない。昨今のHV人気の再燃を理由にEVシフトを疑問視する意見を、今一度否定する必要がある。

EV低価格化の影響

プリウスのウェブサイト(画像:トヨタ自動車)
プリウスのウェブサイト(画像:トヨタ自動車)

 さて、HV回帰の流れのなかで、HVの代名詞ともいえるプリウスを生産するトヨタが注目を集めている。これまでトヨタは、CO2排出量削減という本来の目的からHVが重要というスタンスをとってきた。

 2022年11月に新型プリウスが発表された際、登壇したサイモン・ハンフリーズ氏(クルマ開発センター デザイン領域統括部長)は、HVを作り続ける理由として

「『みんなの手が届くエコカー』だから」

と語っている。長期的な視点に立てばEVも重要な選択肢のひとつだが、CO2削減に貢献する環境対応車は、各地域の特性や市場の状況を考慮しながら投入していく方針だ。HV回帰の流れのなかでプリウスにこだわったことが評価されているが、本当に評価されるべきは、会社の体力を生かして、どちらにもシフトできる体制を整えたことだ。

 これは正しい。というのも、EVの低価格化が進めば、状況はまた変わる可能性が高いからだ。EVの低価格化はこれから本格化すると見られている。2024年1月、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、海外進出を進める中国のEVメーカーに対抗するため、2025年後半に低価格EVモデルを投入する計画を発表した。

 エントリーモデルは2万5000ドル(約370万円)前後で販売される見通しだ。中国メーカーは低価格モデルの投入に積極的で、2023年9月には中国大手の比亜迪(BYD)が税込み価格363万円からのEV「ドルフィン」を日本市場に投入した。補助金を活用すれば実質298万円から購入できる。今後も低価格モデルの投入が続けば、EVは「誰もが手の届くエコカー」の座を占めることになりそうだ。

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