EV失速とハイブリッド回帰! そんなときこそ、本当のクルマ好きは「EV」について熟考すべきだ
EVの普及は夢物語では終わらない。昨今のHV人気の再燃を理由にEVシフトを疑問視する意見を、今一度否定する必要がある。
マツダのEV戦略

ガソリン車の場合、燃料パイプなどの構造が複雑で、ガソリンタンクやエンジンはどのメーカーのどのモデルでも似ている。それに対して、EVは構造が極めてシンプルで、配置も比較的自由度が高い。
そのため、従来の自動車の発想を超えたデザインの車体を開発できる。構造がシンプルなため、自動運転や充電器の遠隔制御など、従来の自動車にはないスマートな技術開発や新規参入の機会を導入しやすい。小型で高性能な全固体電池の普及は、EVの性能向上だけでなく、全体的なイノベーションをもたらすと期待されている。
しかし、これはあくまで将来への希望にすぎない。現状ではHV回帰が起こり、EVへの注目が薄れていることは否めない。このような状況下で、自動車業界各社は現事業で利益を上げながらEVの技術開発を進める方針を打ち出している。
例えば、マツダは2022年の経営方針で、中大型エンジン車の収益でEV開発を推進する方針を示している。2025年3月までを電動化戦略の「フェーズ1」と位置づけ、電動化への移行・準備・推進に取り組んでいる。
2023年11月、電動化に対応する新組織「電動化事業本部(略称:e-MAZDA)」を発足させた。この組織の目的は、社内のEV関連部署を一元化することにある。同社がEV事業を推進できる背景には、ガソリン車が利益を生み出していることがある。
同社の2023年度上期(4~9月)の世界販売台数は、前年同期比20%増の約61万6000台となった。売上高は前年同期比41%増の2兆3173億円、営業利益は同135%増の1296億円と、いずれも過去最高を更新している。