「乗り換え面倒」 北陸新幹線・敦賀延伸が招いた“落とし穴” 福井は近く、関西は遠くなった庶民のリアル
北陸新幹線が3月16日、福井県敦賀市のJR敦賀駅まで延伸した。北陸と首都圏の距離が縮まる一方、交流の深かった関西が遠くなることを嘆く声もある。
北陸の関西離れに関西経済界が危機感

ところが、大阪延伸のめどは立っていない。ルートは敦賀市から福井県小浜市へ西進したあと、京都府を南下して京都市下京区の京都駅を通り、京都府京田辺市経由で大阪市淀川区の新大阪駅へ向かうが、京都府で反発の声が高まっているためだ。
京都府のルートは主に地下を通る。地下水への影響や建設残土の処理など環境面の不安に加え、兆単位となりそうな建設費の地元負担など難題が山積している。さらに、並行在来線になるとみられる湖西線の扱いも、滋賀県の反対を考えると難しい。
関西経済連合会の松本正義会長や大阪府の吉村洋文知事らは早期開通を訴えているが、2月に投開票された京都市長選では主な4候補のうち、落選した3候補が反対の立場で、当選した松井孝治市長も
「慎重な判断が必要」
と賛否を明言しなかった。京都の世論がルート反対に傾きつつあるからだ。
膠着(こうちゃく)状態にしびれを切らせた石川県では、敦賀市から東海道新幹線が通る滋賀県米原市の米原駅を目指すルートへの変更を求める声が出ている。加賀市の宮元陸市長が米原ルートを主張しているほか、小松市議会が2023年12月、米原ルート採用を求める決議を採択した。しかし、東海道新幹線はダイヤ過密で、北陸新幹線の乗り入れが難しい。
関西は戦前、工業出荷額で首都圏を上回る日本経済の中心地で、大阪市の人口が当時の東京市を上回ることもあった。戦後の東京一極集中で経済の地盤沈下に苦しむ関西経済界は、北陸の関西離れに危機感を持つが、大阪延伸を妨げる難題解決の妙案は浮かばない。新幹線延伸の陰で苦悩は深まるばかりだ。