「ペルシャ湾」が中東紛争の舞台になれば、日本全体が大ダメージを受ける理由
海運業界に迫る危機

ウクライナや台湾、イスラエルなど各地域で衝突や緊張が続くなか、最近は日本の海運業界の安全が脅かされる事態となっており、今後の動向に注意が必要だ。
2023年10月7日、パレスチナ自治区・ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスがイスラエルへ奇襲攻撃を行って以降、イスラエル軍とハマスとの間では激しい戦闘が続いている。しかし、イスラエル軍によるガザ地区への容赦ない攻撃が続き、パレスチナ側の犠牲者数は3万人に迫ろうとしており、アラブ諸国だけでなく国際社会全体からイスラエルへの非難の声が強まっている。
これまでイスラエル支持に徹してきた米国のバイデン政権も最近になってイスラエルのやり方に強い不満を示し、双方の間でも摩擦が生じている。そして、イスラエルによる過剰攻撃に対し、ハマスとの連帯を示す親イランのシーア派武装勢力が10月以降、レバノンやイエメン、シリアやイラクなどで反イスラエル、反米闘争をエスカレートさせていった。
2023年の秋ごろ、イスラエルやガザ地区では戦闘が激しくなったが、それはあくまでも限定された地域での局地紛争であり、それが世界経済や民間船舶の安全な航行に大きな影響を与えるという見方は限定的だった。
しかし、親イランのシーア派武装勢力による反イスラエル、反米闘争は日に日に激化していき、特にイエメンを拠点とするフーシ派が紅海を航行する外国船舶への攻撃を始めて以降、日本郵船と商船三井、川崎汽船など日本の海運業界へも影響が拡大するようになった。
2023年11月下旬には、英国の会社が所有し、日本郵船が運航していた自動車専用船がイエメン沖を航行中にフーシ派に拿捕(だほ)される事件が発生し、フーシ派その後同船舶を乗っ取る動画を公開した。事件直前には、フーシ派の指導が、紅海のバブ・エル・マンデブ海峡やイエメン近海でイスラエルや米国船籍(その友好国も含む)を標的とする趣旨の警告を発表していた。