元海上自衛官が解説! 日本政府がフーシ派「貨物船拿捕」に激怒できない3つの理由

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紅海での自動車運搬船拿捕から2か月が過ぎた。しかし、日本政府は一通りの対応しかできていない。その理由は3つある。

理由1「日本船ではない」

日本郵船が運航していた自動車専用船「ギャラクシー・リーダー」(画像:ツァリク・ルスラン)
日本郵船が運航していた自動車専用船「ギャラクシー・リーダー」(画像:ツァリク・ルスラン)

 紅海における自動車運搬船の拿捕(だほ)から2か月が経過した。日本郵船が運航していたギャラクシー・リーダーをイエメンのフーシ派が拿捕したのは2023年11月19日のことである。以降、同船と乗員は同国ホデイダ港で抑留状態にある。

 しかし、日本政府の反応は抑制的である。拿捕当初に

「政府として断固非難」

し、以降はフーシ派に近いイランを通じて解放を求める程度にとどめている。米英の武力行使も支持したものの支援はしていない。

なぜ、拿捕問題に対して今ひとつの対応にとどまっているのだろうか。その理由は

・日本船ではないこと
・乗員が日本人ではないこと
・フーシ派との敵対的な対立を避けたいこと

の三つである。元3等海佐(中級幹部)の筆者(文谷数重、軍事ライター)がひとつずつ解説していこう。

 第1の理由は、「日本船ではないこと」である。ギャラクシー・リーダーは日本郵船が運航しているが、船籍は海外にある。パナマで登録され、パナマ政府の管轄下にある。このため日本は保護できる立場にない。旗国となるパナマ政府を差し置いての口出しはできない。

 なお、船主も日本人ではない。租税回避地として有名な、かのマン島にある英国資本系の会社の持ち物である。これも口出しが難しい理由である。フーシ派は実質的な持ち主はイスラエル人と主張している。フーシ派がイスラエルと戦争中であるとすれば敵国資産ということになる。

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