「ペルシャ湾」が中東紛争の舞台になれば、日本全体が大ダメージを受ける理由
中東における国家間の軍事衝突というシナリオはフィクションではない。しかもその紛争は、日本行きの石油タンカーの出港地である「ペルシャ湾」に関わるものである。
シーア派武装勢力の脅威

紅海と地中海を結ぶスエズ運河を経由する貿易は世界の貿易の
「約12%」
を占めるといわれる海上貿易の要衝であり、日本と欧州を結ぶ民間船舶もここを航行する。
しかし、その安全が現実的に脅かされ始めたことに危機感を強めた米国と英国は2月、イエメンにあるフーシ派の拠点への空爆を開始した。フーシ派も応戦する構えを崩しておらず、ついには日本郵船と商船三井、川崎汽船の海運大手3社が船舶への攻撃リスクを回避するため、全運航船を対象に紅海~スエズ運河の航行を停止することとなった。
代替ルートとしてアフリカ最南端の喜望峰を経由することになったが、輸送にかかる日数が延びるだけでなく、輸送にかかる費用も上昇するなど大きな影響が既に出ている。米国はフーシ派をテロ組織に指定し、イスラエルもハマスへの攻撃の手を緩める姿勢を一切見せないことから、米軍英軍の攻撃、フーシ派による民間船舶への攻撃が終わる見通しは全く見えない状況だ。
しかし、今日日本の海運業界にとってのリスクはそれだけではない。しかもそれは紅海ルートとは比較にならない影響を日本に与える。イエメンのフーシ派だけでなく、イラクやシリアで活動する親イランのシーア派武装勢力も米軍への攻撃をエスカレートさせ、2023年10月7日以降は毎日のように起きている。
そのようななか、1月下旬、シリア国境に近いヨルダンにある米軍基地に対してドローンによる攻撃があり、米兵3人が死亡したことがきっかけで、米国はイラクやシリアで活動する親イランのシーア派武装勢力への攻撃を強化した。米国としても人的被害が拡大すればさらなる強硬な対応を辞さない構えであり、米議会にはイランへの直接攻撃を求める声も少なくない。