豊洲・千客万来 「交通アクセス悪すぎ」説は本当か

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2月1日にオープンした「豊洲 千客万来」だが、交通アクセスは決して十分とはいえないとの声もある。施設に悪影響はないのだろうか。

観光地としての多様性の違い

築地場外市場同様、食べ物が多い。築地場外市場同様、食べ歩きに適した店もある。ただし、ここも長蛇の列だ!(画像:昼間たかし)
築地場外市場同様、食べ物が多い。築地場外市場同様、食べ歩きに適した店もある。ただし、ここも長蛇の列だ!(画像:昼間たかし)

 ただ、このような施設で残念なことがあるとすれば、似たような観光地である築地場外市場と完全に切り離されていることだ。

 もともと築地との競合が、千客万来におけるオープンの遅れの理由のひとつだった。問題は、万葉倶楽部に運営会社が決まった後の2017年6月、小池百合子知事が築地の再開発について「食のテーマパーク」に言及したことだ。その際、万葉倶楽部側は「競合施設ができれば採算がとれない」と抗議し、事業からの撤退を示唆して一時中断した。2018年5月に小池知事の謝罪で問題は解決した。

 すでに過去の問題ではあるが、やはり競合を恐れているのか、千客万来で築地場外市場についての目立つ看板は出ていなかった。インフォメーションで「ここから築地へはどう行けばいいのか」と尋ねると、「初めて聞かれた」と資料を探し始め、ついには

「自分のスマートフォンで調べられないのか」

といわれた。前述のとおり、都バスでアクセスできるのだが……。

 これは非常に危険だ。インターネット上では、海鮮丼などの値段の高さを表す「インバウ丼」というネットスラングが生まれ、注目を集めている。千客万来の名誉のためにいっておくが、これは商品全体のほんの一部にすぎない。とっぴに高いメニューもいくつかあるが、全体としてはまずまずの値段である。しかし、現在の千客万来は純粋な観光客向けの店であり、築地場外市場の

「下位互換」

として否定的に見られがちだ。もちろん、築地場外市場も昔からインバウンド向けに高いメニューを提供していたので、千客万来だけが高いわけではない。大きな違いは、観光地としての多様性である。築地市場がなくなっても、築地場外市場は一般の買い物客向けの店や専門店が健在だ。その結果、歩いているだけでも楽しめる観光地を作り出せている。

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