豊洲市場でおなじみの「ターレ」 実は日本固有だった! でも生誕秘話は意外と知られず いったいなぜ?
市場や工場、倉庫などの施設内での短距離商品輸送に使われている、ターレット式構内運搬自動車。日本固有のこの小型輸送トラックが誕生した歴史は、実のところ判然としない。
正式名は「ターレット式構内運搬自動車」

ターレットトラックという日本固有の小型輸送機械をご存じだろうか。
道路運送車両法上の正式名称は、ターレット式構内運搬自動車。免許制度上の区分は小型特殊自動車である。
筆者(矢吹明紀、フリーランスモータージャーナリスト)が知る限り1960年代初めから現在まで、長期にわたって主として市場や工場、倉庫などの施設内での短距離商品輸送に使われている軽便な構造のトラックである。
運転者は一部の例外を除いて基本的には立って操縦するのが特徴である。実車は市場その他の近隣に行かなければまず見ることはできないが、テレビのニュース画面や雑誌記事などで見掛けたことがある人は多いはずである。
ターレットトラックの構造と外観は低床の3輪貨物車であり、駆動輪は後輪ではなく前輪である。エンジンその他の駆動機関装置はこの前輪と一体化されており、左右への方向転換は駆動機関装置全体を回転させることで行う。
ちなみに「ターレット」という文言自体は、中世の建築における円筒形の塔が語源とされるが、19世紀以降は軍艦や要塞に装備された回転式の砲塔やその基本となる回転構造部分を意味する軍事用語としても使われている。
ターレットトラックの場合も、駆動機関部を支えるベース部分の回転構造が砲塔としてのターレットに類似していることが名称の語源と思われる(機関部が円形塔に似ていることが語源という説もある)。