臨海地下鉄新線構想、そもそもなぜ晴海に「鉄道路線」が作られなかったのか? 何度も見放された不遇の歴史とは

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晴海エリアで課題となっているのが、公共交通網の整備である。なかでも2022年東京都が発表した「臨海地下鉄(仮称)」計画は地域の期待を集めている。

都心の新たな大規模再開発エリア

「臨海地下鉄」新線のルート(画像:Merkmal編集部)
「臨海地下鉄」新線のルート(画像:Merkmal編集部)

 五輪選手村を利用した、東京都中央区の大規模再開発エリア「晴海フラッグ」の建設が進んでいる。2024年春にはマンションへの入居がはじまり、商業施設もオープンする予定だ。

 この新たな街で課題となっているのが、公共交通網の整備である。なかでも2022年東京都が発表した「臨海地下鉄(仮称)」計画は地域の期待を集めている。

 いまでも多くのタワーマンションが目立つ晴海。その賑わいとは裏腹に鉄道駅はない。最寄り駅は運河を挟んだ大江戸線勝どき駅だ。晴海フラッグからは徒歩20分ほどの距離になる。

 人口増とともに生まれる需要に対して東京都が進めてきたのが、晴海~新橋間でのバス高速輸送システム(BRT)の運行だ。さらに、中央区でもコミュニティーバスの運行を計画してきたが、需要に応えることができるか不安視する声もあった。

新路線建設への期待

羽田空港アクセス線の事業区間(画像:JR東日本)
羽田空港アクセス線の事業区間(画像:JR東日本)

 そうしたなか、2022年11月に東京都が発表したのが新たな地下鉄の建設だ。発表によると、新路線は東京駅から銀座、勝どき、晴海を経由し有明までを結ぶとしている。将来的には、JR東日本が建設中の「羽田空港アクセス線」と接続することも計画されているのだ。

 晴海を中心に湾岸地域には、マンションやホテル、商業施設が増え人口増は著しい。一刻も早く実現が望まれる新路線だが、開業はまだまだ先だ。

「メディアでは2040年頃開業などとも報じられましたが、まだ完成日時は明確にはなっていません。現在は都の計画案をもとに駅の配置をどうするか検討している段階です」(中央区交通課)

まだあくまで計画段階。ゆえに中央区では当面の需要を解決することに傾注している。

「BRTとともに都営バスの増発は欠かせないと考えています。そのため6月都にBRTの銀座・東京への延伸を早期に実施することと、都営バスの拡充、新ルートの早期運行開始を求めて要望書を提出したところです」

来るべき人口増に備えて努力は続いている。

 ここで気になるのは、どうしていままで晴海には鉄道路線が建設されなかったのかということだ。実のところ、晴海はこれまで何度も鉄道に見放されてきた土地なのである。

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