日本では激レア 機関車の「プッシュプル運転」が、欧州では現役バリバリ時速250kmで走行してるワケ

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機関車が牽引する客車や貨車は、終点に到着後、機回し設備がなければ最後尾の機関車が車両を押す「推進運転(プッシュプル運転)」が行われる。日本ではほとんど見なくなったこのスタイルだが、欧州では今も現役バリバリ。どころか日本の“10倍”の速度で走っている。その理由を歴史的背景から探る。

欧州で定着した歴史的理由とは

 終点に到着後、機回しが必要となる客車列車は当然効率性の面で好ましいとは言えず、両側に運転台を持つ電車やディーゼルカーへ置き換えることが最も理想的だったが、大量にある車両を速やかに全て入れ替えることはとても現実的とは言えない。

そこで機関車とは反対側の客車に運転室を設け、終点で機回しをすることなく、すぐに折り返すことができるプッシュプル運転が生み出された。これなら既存の機関車と客車を改造するだけで活用できるため、最小限の投資で改善することができる。

 加えて、日本のように電車や気動車が進化し発展した国が少なく、技術的に成熟した機関車+客車という動力集中方式が扱いやすかったことも要因の一つと言える。ヨーロッパにおける高速列車黎明(れいめい)期の頃、どの国も動力集中方式を採用しており、フランスのTGVは今も動力集中方式を採用している。

 ヨーロッパでプッシュプル運転が普及し始めたのは1950~60年代で、ドイツや英国では最初期の頃、蒸気機関車を使ったプッシュプル運転も試みられたが、その他の国ではディーゼル機関車や電気機関車が普及してから、徐々にプッシュプル運転が増えていった。

 まずプッシュプル運転が採用されたのは、運行頻度が高い近郊列車。長距離列車へは、1990年代へ入ってようやく採用され始めた。当時、長距離列車は途中駅で増解結が行われる列車も多く、編成が固定化されてしまうプッシュプル運転には適していないと考えられていた。

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