日本では激レア 機関車の「プッシュプル運転」が、欧州では現役バリバリ時速250kmで走行してるワケ
機関車が牽引する客車や貨車は、終点に到着後、機回し設備がなければ最後尾の機関車が車両を押す「推進運転(プッシュプル運転)」が行われる。日本ではほとんど見なくなったこのスタイルだが、欧州では今も現役バリバリ。どころか日本の“10倍”の速度で走っている。その理由を歴史的背景から探る。
かたや欧州、新幹線並み走行速度

その一方で海外、とりわけヨーロッパでは推進運転、いわゆる「プッシュプル運転」が普及しており、今も多くの国で機関車の牽引・推進によるプッシュプル運転が通常の営業運転で行われている。
運転速度は、オーストリアのレイルジェットのように最高速度230Km/hに達する列車もあり、広義で言えばドイツの高速列車ICE2型も機関車と客車で編成されたもので、最高速度は250Km/hに達する。日本の新幹線に匹敵する速度で推進運転が行われているのだから驚きである。
技術的な側面から見た場合で、日本と違って普及した理由を考えると、日本では一般的でないと挙げた、前述の理由がそのまま裏返しになっていると言える。すなわち、連結器がバッファー(緩衝器)2点(狭軌鉄道では1点)で支えるリンク・バッファー式であること、客車に運転室を設けることで電車のように遠隔操作で機関車を操縦できること、などといった理由がある。
一方で、過去の状況や時代背景が関わっている部分もある。
第2次大戦後、モータリゼーションの波はヨーロッパへも訪れ、マイカーが庶民にも手に入るようになると鉄道は徐々に苦境に立たされるようになった。各国の鉄道会社はサービスや速度の向上に努めたが、19世紀から建設されてきた鉄道インフラの多くは老朽化しており、抜本的な設備の改善が急務となった。
しかし、とりわけ都市部の主要駅周辺は大掛かりな工事を行うことが難しく、莫大な改修費用も必要だった。そこで、当面は既存の設備や車両をやりくりしながら、列車の運行速度や頻度を上げることが必要となった。