タクシー業界vsライドシェア業界 対立から「共存共栄」へのシフトは可能なのだろうか?

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観光ニーズやドライバーの高齢化により、交通ニーズは拡大する。タクシー会社が保有する車両や人材を副業・兼業に活用し、地域公共交通としてのライドシェアを維持・発展させることが望まれる。

タクシー主導で新たな輸送体制構築

タクシー(画像:写真AC)
タクシー(画像:写真AC)

 2024年4月からのタクシー会社主導によるライドシェアの導入が決定した。2023年12月26日に開催された内閣府の規制改革推進会議の中間答申による主なポイントは次のとおり。

・タクシー台数増加を目的とした各規制緩和
・輸送力の「不足地域等」を対象とした、個人車両を使用した有料の運送
・交通が不便な「交通空白地帯」を対象とした、個人車両を使用した有料の運送

推進会議では、二種免許の取得要件の緩和や外国人材の活用により、タクシー台数の増加を見込んでいる。

 しかし、タクシーは増やせるのだろうか。人材不足はどの業界でも同じ悩みである。副業・兼業の人材や個人車両を活用し、輸送力を維持・向上させなければ、観光客などの移動ニーズに応えることはできない。

 そこで、タクシー事業の一環として、車両・運行管理はタクシー会社の責任であることを明確にして安全管理を徹底しつつ、「不足地域等」では個人車両や人材の活用が期待される。

 一方、バスやタクシーなどの公共交通機関が衰退した「交通空白地帯」では、タクシー会社が「協力事業者」として車両・運行管理の支援を行う。いわゆる「自家用有償旅客運送」はすでに実現しており、規制緩和によって運賃はタクシー運賃の2分の1から8割程度に引き下げられる見通しだ。

 ライドシェアの導入については、タクシー・ハイヤー連合会とウーバー・ジャパンが議論しており、ウーバー・ジャパンは「タクシーとライドシェアの共存共栄は可能」としている。同社が発表した資料と、諸外国におけるライドシェア導入前後の効果について調査した結果を報告する。

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