ミラーサイクルエンジンの先進性! マツダ「ユーノス800」という超ハイテクセダンが駆け抜けたバブル崩壊後の日本【連載】90’s ノスタルジア・オン・ホイールズ(12)

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1990年代は、バブル崩壊後も未来への夢と希望に満ち、国内の自動車産業も活況を呈していた。本連載では、当時のクルマ文化を探るとともに、興奮を読者に甦らせる。

機械過給の革新

1990年代のイメージ(画像:写真AC)
1990年代のイメージ(画像:写真AC)

 先進性のふたつ目はリショルム・コンプレッサー型メカニカルスーパーチャージャー(機械駆動過給機)だ。

 1990年代、メカニカルスーパーチャージャー装備車をラインアップしていた国産メーカーにおける主流は、シンプルな容積型過給機のルーツブロワーだった。それに対してリショルム・コンプレッサーは、同じ容積型ながら過給機のローターをネジを思わせるらせん構造とすることで、ルーツ型よりも過給機としての効率に優れていたのが特徴である。

 このタイプの過給機が自動車エンジン用として採用された例は少なく、それまでは単段で高い圧縮が必要だった業務用冷凍機の冷媒コンプレッサーなどに使われていただけだった。自動車エンジン用に使われなかった理由は、ローター形状が複雑だったことから製造コストがかさんだことである。

 ミラーサイクルとリショルム・コンプレッサーを採用したユーノス800。一見しただけでは、あくまでセダンだったのにも拘らず、機械的な部分へのこだわりは並のスポーツカー以上だった。これもまたバブル期の設計ならではの特徴だったといってよいだろう。

 しかしユーノス800には時代の追い風が吹くことはなかった。クルマとしての完成度は、その機械的な志の高さも合わせて申し分なかった。とはいえ、デビューしたのはバブル崩壊後であり、そうした付加価値が高く評価される時代は既に過去のものだったのである。

 ユーノス800は、それでもコアなマツダのファン層からは支持された。しかしそうした層の絶対量は多くはなく、最終的にデビュー時の勢いは次第に縮小して行かざるを得なかった。

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