日本、中国人向けビザ免除「真剣に検討」すべき理由
緩和熱望の日中経済交流団体

こうしたなか、中国政府は日本に対しても、経済的な実利を得るための相互ビザ免除を求めている。財界人もさらに要求している。
両国の経済交流団体である中国日本商会が発表した『中国経済と日本企業 2023年白書』では、15日以内のビザ免除再開に言及している。さらに、空運に関する項目では
「中国人旅客に対する入国管理や検疫基準や日本人旅客に対するビザがさらに緩和されれば、航空旅客需要も急速に回復に向かうと期待している」
と、言及している。結局のところ、日中両国がビザ緩和で折り合えなかったことが、ビジネス旅行以外の障害になっている。
コロナ禍前までインバウンド需要を支えていた中国人旅客は、渡航制限が解除された今でも全く回復していない。以下は、コロナ禍前後の各国の訪問者数と伸び率をまとめたものである。
●2019年
・韓国:558万4597人
・中国:959万4394人
・台湾:489万602人
・香港:229万792人
・タイ:131万8977人
・シンガポール:49万2552人
●2023年(伸び率)
・韓国:695万8500人(24.6%)
・中国:242万5000人(-74.7%)
・台湾:420万2400人(-14.1%)
・香港:211万4400人(-7.7%)
・タイ:99万5500人(-24.5%)
・シンガポール:59万1300人(220.1%)
各国からの訪日客数が徐々に回復している一方で、中国からの訪日客数はまだ回復していない。
中国の旅行予約サイト「携程旅行」によると、中国で海外旅客数が最も増加する2024年の春節(旧正月)においても、日本はタイ、シンガポール、マレーシア、オーストラリアと並び、人気旅行先トップ5にランクインしている。しかし、ビザが免除されない日本を選ぶ旅客が激減していることも指摘されている。