羽田衝突事故、ミス想定の多重対策で「ヒューマンエラー」は防げないのか?

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多くの人命を預かる複雑なシステムに人間の判断や操作が組み込まれる場合、人的要因は安全性を確保する上で極めて重要な問題となる。

羽田衝突事故の原因

DHC-8-300(画像:写真AC)
DHC-8-300(画像:写真AC)

 羽田空港で起きた日本航空の旅客機と海上保安庁機の衝突事故は、世界でも大きく注目され、事故の原因や背景を巡る報道が続いている。

 事故原因が人的ミスによるものであることが、これまでの発表からわかっている。海上保安庁のDHC-8は、管制官の指示を正しく復唱していながら、指示どおり停止することなく滑走路に侵入してしまった。これに管制官も気づかず、さらに着陸してくる日航のA350パイロットも気づかなかったことで、両機が衝突したのであった。

 パイロットが管制官の指示を取り違え、あるいは思い込みで滑走路に侵入してしまうインシデントは、そう珍しいものではない。2019年には、那覇空港でスクランブル発進するF-15戦闘機2機が、

「Hold short of runway 36, Traffic on final.(滑走路36の手前で待機せよ、着陸機が進入中)」

という管制官の指示を、正しく復唱しているにもかかわらず、滑走路の離陸位置まで進入した事例があった。このときは管制官の指示でF-15が速やかに滑走路から離脱したため、進入中だった小型旅客機DHC-8は無事に着陸したが、事故につながりかねない重大インシデントとして報告された。

 航空機を運航するシステムの安全性は、航空機の機体や管制システムが故障しないという機械の信頼性に加えて、それを操る人間が正しく判断や動作を行うという

「Human Reliability(人間信頼性)」

に依存している。多くの人命を預かる複雑なシステムに、人間の判断や操作が組み込まれている場合、人的要因(ヒューマンファクター)は安全確保のために極めて重要な課題だ。

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