「米国資本やりたい放題」 北欧諸国で巻き起こる“テスラvs労働組合”の泥仕合、新車ナンバープレート郵送拒否のトラブルも
テスラと、スウェーデン、ノルウェー、デンマークといった北欧諸国の労働組合との対立が、2023年の秋以降解消されないまま年が明けた。
米国資本vs北欧の労働者

テスラにとって、電気自動車(EV)化を率先し進めてきた北欧各国は重要なEV市場には変わりない。
スウェーデンにおける2023年11月までのEVの販売上位車種(green car magazineの集計による)をみてみよう。
・テスラ「モデルY」:15.3千台
・フォルクスワーゲン「ID.4」:9.6千台
・ボルボ「XC40」:8.3千台
・シュコダ「エンヤク」:5.4千台
・キア「EV6」:4.1千台
このように、テスラはスウェーデンのEV市場において、2位以下に大きく水をあけている状況だ。北欧諸国の港湾労働者のボイコットが、今後どのように影響するのだろうか。
労働組合との対立が長引くのは、テスラにとって決して良いとはいえないが、年末時点ではマスクCEOが妥協した、あるいは妥協する方向だとの記事は見当たらなかった。
カリフォルニア州フリーモントのテスラ工場で全米自動車労働組合(UAW)による労組結成キャンペーンが行われた際、マスクCEOは
「労働組合を結成することを止めるものは何もない」
と口にしていた。表向きは労働組合に対し寛容な姿勢を見せていても、冒頭のニューオーリンズの連邦高裁の判例どおり、本音では労働組合を歓迎しておらず、妥協するつもりはないのだろう。
ここまでくると、もはやテスラと労働組合の争いではなく、
「米国資本と労働者の権利の対立」
とまで表現されている。北欧諸国の労働者側には、
「ここで妥協すると、テスラだけでなく米国資本に将来やりたい放題される」
という強い危機感がある。労働協約うんぬんではなく、イデオロギーレベルの対立の様相を呈しており、ここしばらくは平行線のまま時間が過ぎるだけかもしれない。