エンジン車の元技術者、ネットにはびこる“EVアンチ”を叱る 「イノベーションに敬意を持て」

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内燃機関原理主義者はインターネットにも現れ、自説を一方的に垂れ流す。もちろん記事にコメントするのは自由だが、まずすべきは、記事を熟読し、その内容を理解し、反論するなら敬意を持って行うのが最低限のルールではないのか。

目に余る無礼な言動

EVのイメージ(画像:写真AC)
EVのイメージ(画像:写真AC)

 2023年12月17日、筆者(北河定保、自動車ジャーナリスト)は本媒体に「米国の約6割が「EVに否定的」 自動車大国ドイツでも戦略転換、“深い溝”に陥ったEV市場の行方とは?」と題する記事を書き、コメントで多くの賛同を得た。

 もちろん、肯定的なものばかりではない。エンジン車支持者たちによる、事実を正確に理解していない

・単なる中傷
・過度な中傷
・軽薄な中傷

とも受け取れる書き込みもあった。

 さて、12月の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)以前、国際連合がニューヨークで開催した「気候野心サミット」で、アントニオ・グテーレス事務総長は、

「恐ろしい熱が恐ろしい影響をもたらしている。人類は地獄の門を開けてしまった」

と、出席していた政治家、企業、市民社会のリーダーたちに、まるでイデオロギー(政治思想や理念)の扇動者か宗教団体の教祖であるかのような非科学的な言葉を浴びせた。

 筆者は、乗用車のCO2排出量を過去に戻したところで、地球の気候や環境が回復するとは思っていない。それでも、脱炭素を目指して日夜、電気自動車(EV)などの開発に取り組んでいる技術者たちに対して大きな敬意を表している。

 しかし、そんな彼らに対して、特にインターネット上で“無礼な言動”が増えていることを深く憂慮している。EV推進の記事には、否定的なコメントが多く寄せられるのを危惧している。

 筆者は元技術者であり、内燃機関愛好家である。しかし、将来の重要な技術としてEVも評価している。また、新技術の開発は適度なスピードで進めるべきであり、その際、背反を入念にチェックし、問題が発生した場合の回避策を準備しておくべきだと考えている。

 残念ながら、現在の政治主導のEV開発はあまりにも性急で、充電インフラや送電網などエコシステムの一部がゆがめられ、そのツケを消費者が払わされる危険性が高い。電池用の鉱物資源の採掘、リサイクル、廃棄は、すでに環境汚染を引き起こしている。これでは本末転倒だ。

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