エンジン車の元技術者、ネットにはびこる“EVアンチ”を叱る 「イノベーションに敬意を持て」

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内燃機関原理主義者はインターネットにも現れ、自説を一方的に垂れ流す。もちろん記事にコメントするのは自由だが、まずすべきは、記事を熟読し、その内容を理解し、反論するなら敬意を持って行うのが最低限のルールではないのか。

内燃機関原理主義者の主張

EVのイメージ(画像:写真AC)
EVのイメージ(画像:写真AC)

「EVは自動車産業の破壊者である」という議論が続く限り、日本車の敗北は避けられない――元東京大学特任教授の村沢義久氏と経済ジャーナリストの井上久男氏の対談記事を参考に、内燃機関原理主義者の主張のいくつかを分析し、彼らがそう考えるに至った要因を推し量る。

●EVシフトは日本の自動車産業を破壊する
 中国勢の台頭で国際競争が激化するのは間違いないが、日本の自動車産業は電動化のパイオニアであり、電池とモーター以外の部分(車体、操縦安定性、振動騒音、耐久品質)で既存の自動車メーカーが優位に立っている。

 最近、中国では比亜迪(BYD)のプラグインハイブリッド車(PHV)で「ハイブリッド切り替え不良」という技術的に深刻なクレームが急増している。中国は車の基本性能と耐久品質の確保がまだまだ苦手である。また、中国には現在100社近いEVメーカーがあるが、生産能力は過剰で、最終的には10社程度に淘汰(とうた)されるだろう。

●EVはライフサイクルがクリーンではない
 大ざっぱにいえば、「製造時はエンジン車」「走行中はEV」は相対的にクリーンだが、EVがどこでエンジン車の流れを逆転するかは、充電電力のクリーン度、バッテリー容量、年間走行距離などによるところが大きい。車の寿命を通じてエンジンがクリーンである可能性はあるが、まれである。

●ユーザーはEVを望んでいない
 多くの消費者はEVがもたらす新しい価値を認めている。しかし、今は手頃な価格のEVがなく、充電インフラが未整備な地域も多いため、「買いたくても買えない」ため、取りあえずPHVに流れているのだ。

●EVは欧米と中国でしか売れない
 高価格帯のEVにはいえることだが、その市場は埋まりつつある。一方、インドや東南アジアでは、まだ自動車自体が高級品で、主流は2輪や3輪。ただ電動化率が高く、政府もそれを後押ししているのだから、自動車を持てるようになれば、中国のようにEVが急増すると考えるのが自然だろう。

●EVは補助金なしでは成り立たない。
 テスラやBYDはそうでないことを証明している。彼らはLPF(リン酸鉄リチウムイオン)電池、メガキャスト(大型の高圧アルミ射出成型による部品の一体化)、安価な中国の労働力を使うことで、大幅なコスト削減を達成した。しかし、航続距離と修理コストの間には背反があることを認識する必要がある。

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