燃費は最悪! マツダ「コスモ」のドライブフィールはそれでも“異次元”の3ローターだった【連載】90’s ノスタルジア・オン・ホイールズ(10)

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1990年代は、バブル崩壊後も未来への夢と希望に満ち、国内の自動車産業も活況を呈していた。本連載では、当時のクルマ文化を探るとともに、興奮を読者に甦らせる。

ドライブのアンバランス

ユーノス・ロードスター(画像:マツダ)
ユーノス・ロードスター(画像:マツダ)

 しかし程なくしてとある問題がコスモを襲うこととなる。それは

「最悪な燃費」

だった。特に3ローターモデルは市街地の渋滞路はいうまでもなく、峠道などで元気よくアクセルを踏んでいるとリッター当たり5kmも走れば優秀。最悪の場合は2~3kmという数値も冗談ではなく記録することとなる。

 ちなみにもともとロータリーエンジンの、それもターボ付きともなれば、2ローターの12Aや13Bでもその燃費は群を抜いて悪いというのは“定説”だった。しかしそんな定説さえも軽々と越えてきたのが3ローターの20Bだったというわけである。

 しかし筆者(矢吹明紀、フリーランスモータージャーナリスト)の感想をいわせてもらうなら、例えば

「空いた高速道路を制限速度以下でゆっくり流して走る」

といったシチュエーションでは、これ以上はないというレベルでの気持ちよさだったのもまた事実である。

 バブル時代、筆者もさまざまな内外の高級車を仕事で乗る機会は多々あった一方、ドライブフィールという意味ではまさしく超1級だったのがユーノス・コスモだった。この当時、マツダは内装のクオリティーにも力を入れており、ドライバーの目に入る部分、ステアリングの触感やスイッチ類の操作感、インストルメントパネルの見やすさなども、極めて高品質だった新の意味でのGTカーだった。

 しかし、ユーノス・コスモには運がなかった。同じタイミングで投入されたスバル・アルシオーネSVXなどのフラッグシップGTと同様、デビュー後間もなく訪れたバブル崩壊とともに、市場でのポジション維持自体が難しくなってしまった。

 その上、コスモの場合は前述したとおり絶望的な燃費の悪さがさらに足を引っ張った。ガソリンの消費量を気にすることなく走れば走るほど気持ちよいのはわかっている。しかし時代はそうしたぜいたくな楽しみを許さなかったのである。

 その上、バブル崩壊の影響は結局数年にわたって自動車業界に大きな影響を及ぼすこととなる。特に好景気時の際限ないマツダの市場拡大戦略自体が、景気の悪化とともに会社経営に重い足かせとしてのしかかってくることとなった。

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