ボルボはなぜ「ミニバン市場」に参入したのか? そして、なぜ中国先行販売なのか? 新型EVプレミアムMPV「EM90」発表で考える

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ボルボ・カーは新型EVのプレミアムMPV「EM90」を世界初公開し、中国での予約受付を開始した。その背景にには何があるのか。

ジーカーのグローバル戦略

ジーカー「009」(画像:ジーカー)
ジーカー「009」(画像:ジーカー)

 ジーカーは、吉利汽車が2021年に立ち上げたプレミアムEVブランドである。

 デザインスタジオの拠点がスウェーデンのヨーテボリにあることからも、同ブランドがグローバル展開を視野に入れていることは明らかだ。2025年までに年間65万台の販売目標を掲げ、世界トップ3に入る高級EVブランドになることを目指している。

 ジーカーは2021年に最初のモデルである「001」を発売したのに続き、2022年11月にはEM90の姉妹車である「009」を発売した。
 009のために同社が開発した「SEA」プラットホームは、ポールスターとスマートにも採用予定で、同プラットホームはボルボのEM90にも採用されている。

 009の価格は49万9000元からで、1000万円を超える高級車となるが、EM90の価格はさらにアグレッシブで、81万8000元からとなっている。
 吉利汽車は、EV90の投入により、ジーカーをボルボの廉価版として扱うかもしれないが、姉妹車投入による相乗効果で、ハイエンドEVブランドとしての確立を目指していることに変わりはない。

 現時点では、EM90の中国以外の市場への投入は未定で、当面は中国市場専用車となる見込みだが、今後の市場の反応次第では、欧州を含む全世界で販売される可能性もある。

 日本では北欧インテリアの人気が高く、近年はVIPの移動にMPVが多用されていることから、EM90が日本で発売される日が来るかもしれない。

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