米国の約6割が「EVに否定的」 自動車大国ドイツでも戦略転換、“深い溝”に陥ったEV市場の行方とは?
後退するEV戦略
英国は2023年9月20日、エンジン車の新車販売禁止を2030年から2035年に延期すると発表した。
【無料セミナー】「自動車DXサミット vol.3」 三菱ふそう KTC マツダ登壇 Amazonギフトカードプレゼント〈PR〉
スナク首相は、
「政府が電気自動車(EV)の普及を積極的に誘導するのではなく、消費者の自主的な選択を重視すべきだ」
と強調した。
フォルクスワーゲンは「消費者が消極的でEVが売れず、工場を6週間閉鎖」し、EV構成比率15%を誇るBMWも「いつエンジンをやめるのか、結論は急がない」という。
メルセデス・ベンツの最新コンセプト車は「エンジン車への転用も可能」とされ、欧州の自動車大国ドイツでもEV戦略に変化が出始めている。
HV市場の拡大
米国では11月27日、コネティカット州が2035年以降のガソリン車販売を禁止する「EVシフト州法案」を超党派の反対により撤回した。米市場調査会社イプソスが10月に実施した調査では、回答者の31%がEVに肯定的で、57%が否定的だった。同州は特に充電ステーション不足が深刻だという。
2023年の米EV市場は、ディーラー在庫が増加し、値引きにより利益が減少する一方、ハイブリッド車(HV)の需要が増加し、ロイターは
「今後5年間でHV市場が3倍になる」
と予測している。
こうした状況を踏まえ、テスラとゼネラルモーターズはEVの生産能力拡大計画を延期。フォードは、
「EVは1台450万の赤字で、今後はHVの生産を増やす」
としている。
政策面では、EV市場を中国車が独占している欧州連合(EU)が中国製EVの反補助金調査に乗り出し、バイデン政権は
「中国企業が生産した電池部品や重要鉱物を使う車種を2024年から段階的に優遇対象から除外する」
というガイドラインを発表した。