日本の鉄道会社が止めるべき「護送船団方式」 単独の車両販売こそが未来を拓く 海外進出は香港の鉄道から学べ
日本には多くの鉄道会社があるが、JR、阪急、東急などが海外で「独資」会社を運営しているケースは少ない。少子高齢化が進む日本でビジネスをするだけでは、将来的に経営が傾くことは、かなり前から誰もが理解していることだが、その歩みが早いとはいい難い。
99.9%の定時運行

香港における鉄道の歴史は、1910年に香港と中国本土を結ぶ九広鉄路(KCR)という路線が運行を開始したことにまでさかのぼれる。1975年には、香港政庁の全額出資で地下鉄を運営する地下鉄路が設立された。その後、2007年にKCRとMTRが合併し、新たにMTRが生まれた。現在、香港政府は新MTRの株式の約70%を保有している。
香港には車両も信号システムも線路も製造できるメーカーがないため、外国企業から購入するしかない。しかし、MTRは活用するだけでは満足せず、既存のシステムをどんどんブラッシュアップしていった。MTRは基本的に政府系企業だが、民間企業のように改善しようとする社風は評価できる。
現在、MTRは1日445万人、年間15億人の乗客を運び、99.9%の定時運行率を達成している。ラッシュアワーには2分に1本の頻度で運行しており、これは日本よりも高い。先日、香港島と東西に走る港島線(Island Line)の夕方ラッシュ時の本数を確認したところ、混雑しすぎて出発が遅れた列車が一部あったが、次の列車は1分後に到着するなど、大きな混乱はなかった。
香港では、ソニーが開発したFelica技術を使ったIC乗車券を八達通(Octopus)と呼ぶが。2001年に始まったSuicaより4年早い1997年に導入された。ソニーは一体どう思ったのか、というのはあるが、ホームドアの設置にも積極的で、新しいものを積極的に取り入れている。