米国テキサスの高速鉄道が「新幹線方式」を採用したワケ そもそも海外進出はなぜ難航したのか
世界最大の経済大国である米国には、日本の新幹線のようにほとんどの区間で高速度走行が可能な本格的な高速鉄道は、今のところ全く存在していない。そこで注目されているのがテキサス高速鉄道だ。
米国に高速鉄道が建設されることの効果
日本の大都市で暮らす人たちにとって、新幹線とは非常に身近な存在だ。その一方で世界最大の経済大国である米国には、ワシントンD.C.~フィラデルフィア~ニューヨーク~ボストン間の北東回廊を走るアセラ・エクスプレスのように、一部の区間で時速200km以上の高速度で走行が可能な列車が運行されている。
けれども、日本の新幹線のようにほとんどの区間で高速度走行が可能な本格的な高速鉄道は、今のところ全く存在していない。
一方、米国においても高速鉄道を建設する計画は推進されており、そのひとつが、南部テキサス州のダラス~ヒューストン間で計画されているテキサス・セントラル・レイルウェイ(テキサス高速鉄道)である。
テキサス州北部に位置するダラス市の人口は134万人(2019年)で、近隣のフォートワース市やアーリントン市とともに人口数百万人規模の大都市圏を形成している。南部の都市ヒューストン市の人口は232万人と全米4位であり、ヒューストン市に郡庁を置くハリス郡の人口は471万人だ。両都市ともに人口は十分に多いといえる。
また、両都市間の距離はおよそ380kmで、高速道路で移動する場合の所要時間は4時間程度、航空機の場合は飛行時間のみで70分程度だが、高速鉄道は90分で結ぶ計画である。まさしく高速鉄道がその効果を十分に発揮できる距離と所要時間であるといえるだろう。運行間隔は、ピーク時間帯は30分に1本、オフピークの時間帯は1時間に1本が予定されている。
両都市間の交流人口の増加による経済の活性化や、自動車や航空機を利用していた旅客が高速鉄道へ切り替えることによる、燃料の節約や温室効果ガスの排出量削減、交通渋滞の緩和などが期待できるであろう。