渋滞緩和と事故減少 「貨客混載」は本当に交通の未来を塗り替えるか? デメリット込みで考える
ここ10年で、バスやタクシー、電車が人だけでなく荷物も運ぶ「貨客混載」のケースが増えている。そのメリットとデメリットとは。
複雑な調整、新たな課題

もちろん、メリットばかりというわけではない。物流事業者と公共交通事業者が協力して荷物を輸送しなければならないため、必然的に手配が複雑になる。
もうひとつのデメリットは、公共交通で荷物を輸送する時間帯が
「運行ダイヤに大きく左右される」
ことだ。これは特に過疎地では深刻な問題で、バスや電車が必ずしも物流事業者にとって都合のよい時間帯に運行するとは限らない。運送に要する時間だけを考慮すれば、トラックで運んだ方が時間効率がよい場合もある。
また、バス、タクシー、電車の空きスペースを利用して輸送するため、輸送可能な荷物の量は空きスペースの大きさに左右され、物流事業者が決めることはできない。貨客混載は、すべての物流問題を解決する“魔法のカード”ではないことに留意する必要がある。
規制が緩和されるにつれて、貨客混載は増加していった。また、2020年から始まったCOVID-19の感染拡大により公共交通の利用者が大幅に減少した後は、荷物輸送が公共交通事業者の新たな収入源になることも期待されている。