渋滞緩和と事故減少 「貨客混載」は本当に交通の未来を塗り替えるか? デメリット込みで考える

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ここ10年で、バスやタクシー、電車が人だけでなく荷物も運ぶ「貨客混載」のケースが増えている。そのメリットとデメリットとは。

公共と物流のWin-Win

路線バス(画像:写真AC)
路線バス(画像:写真AC)

 貨客混載は、商品を運ぶ物流事業者にとっても、バス・タクシー会社や鉄道会社などの公共交通事業者にとってもメリットがある。

 物流事業者は、荷物輸送に必要なトラック運転手の不足を補える。また、所有するトラックの台数を減らせる。また、鉄道を利用すれば、荷物輸送中の交通事故の可能性を減らせる。

 一方、公共交通事業者は、荷物輸送から収益を得ることができ、事業継続価値の向上につながる。バスと鉄道の収益性向上というと、「地域限定の話」と考える人もいるかもしれない。しかし、例えば東京都と神奈川県を拠点とする東急バスの路線では、規模は小さいがパンを運ぶなど、貨客混載も行われている。

 考えてみれば、1台数千万円もするバスが燃費3~5km/リットルで、乗務員ひとりを乗せ、乗客ひとり当たり数百円の料金しかとらないのだ。大都市でも路線バス事業は大きな利益を生まず、新たな収入源が必要であることは想像に難くない。

 さらに、トラックの代わりにバスなどが荷物を運ぶことで、道路を走るトラックの数が減る。

・交通渋滞の緩和
・交通事故の減少
・CO2排出量の削減

が期待される。

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