ホンダのあふれる情熱ハイブリッド! 世界一の低燃費車「インサイト」の衝撃を覚えているか【連載】90’s ノスタルジア・オン・ホイールズ(6)

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1990年代は、バブル崩壊後も未来への夢と希望に満ち、国内の自動車産業も活況を呈していた。本連載では、当時のクルマ文化を探るとともに、興奮を読者に甦らせる。

820kgの軽量ハイブリッド

1990年代のイメージ(画像:写真AC)
1990年代のイメージ(画像:写真AC)

 これらのメカニカルコンポーネンツを収納するボディは軽量で、アルミモノコックと樹脂ボディパーツでできていた。

 ボディのデザインは空力性能を重視したものとなっており、そのCd値(空気がボディ表面上をいかにスムーズに流れるかを示す係数)は量産車としては驚異的な0.25だった。空気抵抗を低減するため、リアホイールアーチにはスピードレコードブレーカー並みのスカート、いわゆる「ホイールアーチカバー」を装備していたのも特徴である。

 これらのディテールからもわかるように、インサイトはHVならではの優れた燃費性能を実現するために空力性能を極限まで高め、軽量化を目指してレーシングカーのように作られた。

 いうまでもなくバッテリーの搭載が必須だったHVにとって軽量化は苦手な項目だった。その証拠に一見しただけでは軽量なイメージがあった初代プリウスの車重は1240kgと、同年代のカローラよりも200kg以上重かった。対して、インサイトの車重はマニュアルトランスミッションでわずか

「820kg」

だった。最新の軽自動車よりも軽量だったこのスペックは、まさしくアルミモノコックのたまものだったといってよい。

 しかし、このような特別な性能に特化したモデルの常として、その存在価値を一般大衆に理解してもらうことは難しかった。2シーターというだけで、潜在的なユーザー層は限られていた。加えて、ボディデザインも個性的で、大売れする様なモデルではなかった

 しかしクルマの世界というものは不思議なもので、

「マイナーであることに価値を見いだす層」

が必ず一定数存在している。

・ハイブリッドという最新のメカニズム
・空力に特化したボディデザイン
・アルミモノコック

マイナー車マニアを引きつけるだけの魅力としては十分だった。

 特に燃費を追求し、量産車の枠にとらわれない緻密な設計がなされていたことが、一部の層から熱狂的に支持される大きな原動力となった。燃費については、初期モデルが10.15モードで35km/Lを達成し、当時のガソリンエンジン車としては世界最高を記録した。

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