ハイブリッド車を「EV」と呼んではいけない! 日本独自の“電動車”という、あいまい解釈はいつまで続くのか
日本国内ではHEVをEVを一緒くたにして、「電動車」と表現するケースが少なくない。HEVは国際的にEVとは認識されていない。
急激なEV化の背景

近年、従来の自動車から電気自動車(EV)へのシフトが世界中で加速している。
こうした急激なEV化の進展の背景には、
・気候変動
・大気汚染
・エネルギー安全保障
といった社会課題を解決し、持続可能な社会を実現するためであることが理由として挙げられる。
そして低燃費技術でかなわない日本車に対抗するために、諸外国が
「政治的、ルール形成戦略的な動き」
をとっていることがもうひとつの理由として挙げられる。
“電動車”とは何か

現在、EVの普及は政府の政策と市場の需要変化の両方によって促進されている。世界各国の政府は、より厳しい排ガス規制を導入する一方で、財政的な措置によってEVの普及を促している。
特に米国、欧州、中国などの主要な自動車市場では、こうした政策と環境負荷に対する消費者の意識の高まりによって、EVの生産と販売が近年飛躍的に増加している。そして米欧中ではハイブリッド車(HEV)を規制し、補助金の対象から外すことを進めている。
例えば、カリフォルニア州では2035年までに域内で販売される新車をすべてゼロエミッション車(ZEV、温室効果ガスを排出しない自動車)にすると表明し、日系自動車メーカーが得意とするHEVを規制する方針である。
そうしたなか、日本は2050年のカーボンニュートラル実現に向け、
「2035年までに新車販売で“電動車”100%を実現する」
ことを打ち出している。そしてこの“電動車”には当然、日本のお家芸であるHEVが含まれており、米欧中とは異なるスタンスをとっている。
そうした背景もあり、日本国内ではHEVをEVなどと
「一緒くた」
にして、“電動車”と表現するケースが少なくない。