地方の朝採れ生鮮、午後には首都圏スーパーに ANAが新会社、流通時間を大幅短縮

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ANAグループの社員提案制度から、新会社が誕生した。地方の生鮮品を旅客機で運搬し首都圏の消費地へ届ける「株式会社日本産直空輸」。2022年4月の営業開始を目指している。

社員提案制度きっかけ、スタートアップ2社目

産直空輸の試験販売の様子(画像:ANA)。
産直空輸の試験販売の様子(画像:ANA)。

 ANAグループ(全日空)は2022年1月11日(火)、同グループ社員提案制度を発端とした新会社「株式会社日本産直空輸」を設立したと発表した。地方の農産品・魚介類などを首都圏に運搬する。4月1日の営業開始を目指している。

 社名となった「産直空輸」は、飛行機を利用して農産品や魚介類などを産地から主に首都圏などの大消費地に運搬、主に1次産品である農産品や魚介類などの採れたての鮮度の価値を消費者に届ける仕組みを言う。

 従来の、産地・卸売り・空輸・地上運送・小売り・消費者――とつながる流通に替わって、「鮮度の価値を最重要視する流れに変革するために、全体を一気通貫でコーディネートすることがこのビジネスの肝」としている。

 また旅客機の貨物空きスペースを活用することにより、少量生産の農産物や、首都圏ではなかなか出回らない希少品、地方に眠る逸品など、既存の流通には乗ってこなかった物品の供給も期待される。

 例えば熊本産の「朝採り長ナス」の場合、10時半に生産者が収穫し、車で11時に熊本空港へ搬入。12時25分の便に載せて13時55分に羽田空港に到着。15時半には首都圏の小売店に到着し、販売されるという。

 ANAグループ社員提案制度は、2004(平成16)年度から実施。約200件の提案に1700人ほどの社員が参加した。同制度から生まれたスタートアップは2020年4月1日に設立した「avatarin株式会社」に続き2社目。

 日本産直空輸は、2019年度にグループ社員の発案により検討を開始。2021年以降、複数の大手小売りとも連携し、約20階の実証実験を重ねていた。事業化にあたり同社は「今後もANAグループと連携し、地域創生に貢献するビジネスモデルとして発展・拡大することをめざしていく」としている。

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