中国製ドローン禁止令なぜ? 国産メーカーは風に乗れるか 求められる性能とコスパ

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災害対応やインフラの点検で、ドローンの活用が急速に広まっている。その多くが中国製というなかで、日本政府は事実上の中国製ドローン排除を打ち出し、各者が対応に迫られている。一方で国内メーカーは、この追い風に乗れるのだろうか。

世界7割シェアの中国製ドローン なぜ各国が禁止令を?

ドローンは中国製が世界的なシェアを持つ。写真はイメージ(画像:Dmitry Kalinovsky/123RF)。
ドローンは中国製が世界的なシェアを持つ。写真はイメージ(画像:Dmitry Kalinovsky/123RF)。

 消防などでドローンの活用が急拡大している。2020年2月に消防庁の消防・救急課がまとめたレポートによれば、2017(平成29)年度の全国の消防本部におけるドローン保有率が9.6%であったのに対し、2019(令和元)年度には27.7%にまで増加している。

 同レポートによれば、2019年度にはドローンを保有していた201の消防本部のうち、139の消防本部が災害時にドローンを活用している。有人航空機に比べて安価で、かつ二次災害の発生リスクの高い現場にも投入できるドローンは、いまや消防だけでなく、災害対策にあたる組織には不可欠な存在であると言っても過言ではない。

 今後も普及は進んでいくものと思われるが、災害対策にあたる組織へのドローンの普及に伴い、いくつかの問題も浮上している。そのひとつが、政府が定めた中国製ドローンの事実上の「排除」だ。

 商用ドローンの世界市場では、DJIをはじめとする中国企業が約70%のシェアを獲得していると推定されている。中国は2017年に企業を含めたすべての組織が、政府と中国共産党に情報提供で協力することを定めた「国家情報法」を制定しており、この法律に基づいて、中国のドローンメーカーから、自社製品が世界各国で収集した情報が、中国政府と中国共産党に流出することが懸念されている。

 このため欧米諸国では、政府機関による中国製ドローンの調達の禁止や使用の制限に向けた動きが進んでいる。日本政府も2020年9月14日に、政府機関が重要インフラの点検や測量業務などに使用するドローンを新規に調達する際には、事前に計画書を提出して審査を受けることを義務付けた「政府機関等における無人航空機の調達等に関する方針」を打ち出している。

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