「Zoom」とは何が違う? ANA発”瞬間移動”スタートアップ「avatarin」サービスの強みとは
ANA「アバター準備室」から独立

新型コロナウイルス感染拡大下、航空会社各社は、航空便による旅客輸送ではない「非航空事業」の拡大に一層注力する傾向にある。そのようななか異彩を放つのが、ANA(全日空)グループ初のスタートアップ企業、avatarin社が中心となって展開される”瞬間移動”ツアーだ。
avatarin社はANAホールディングスの「アバター準備室」から2020年に独立。2021年秋から、使用後に利用者からの意見を集めサービス向上を目指す試用版「ベータ版」を提供開始した。
同社では、ロボティクス、AI(人工知能)、VR(仮想現実)、通信、触覚技術などの先端技術を結集した「アバターロボット」の開発を進めている。同社提供のプラットフォーム「avatarin」は、既存移動手段の課題を解決すべく考えた新たな移動サービスであるとし、「体を移動させず人の意識と存在感のみを伝送し、リアル空間を検索して瞬間移動することができる」としている。
ベータ版の提供開始時には、実際にPC経由でロボットを操作し動き回れるのはもちろんのこと、「Zoom」などに代表される一般的なオンライン会議ツールを用いたオンラインツアーなどとは一線を画す高画質も、電波状況によっては利用できるようになったという。
直近では、2021年11月より沖縄美ら海水族館を舞台に、閉館後の館内を利用者がアバターロボット経由で観光する「アバターインナイト」の提供などを実施。今後は2021年12月から翌年3月まで、福島県を舞台に双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館などの無料体験するツアーを、ANAグループ傘下のANAあきんど社と実施予定だ。
avatarin社CEOの深堀 昂氏は取材に対し、「美ら海水族館のツアーでは、『長年の夢が叶った』というお客様の声もいただいた。こういった新たな移動手段の提供で、例えば身体的なハンデがあったとしても、さまざまな方が(その地を)体験できる機会になれば」と話す。