拡大するロシアの「航路」「鉄道網」 制裁下の交通インフラ強化にみる、飽くなき野心と戦略とは

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最近、ロシアの交通網と経済動向に関する話題が日本国内でも頻繁に取り上げられている。特に、2022年10月に石川県の七尾港からロシアのウラジオストクへの新航路開設は、日本とロシア間の新たな経済的・文化的交流の可能性を示唆している。

停滞する貿易情報

ウラジオストク港(画像:写真AC)
ウラジオストク港(画像:写真AC)

 最近、ロシアの交通網と経済動向に関する話題が日本国内でも頻繁に取り上げられている。特に、2022年10月に石川県の七尾港からロシアのウラジオストクへの新航路開設は、日本とロシア間の新たな経済的・文化的交流の可能性を示唆している。

 さらに、11月には北方領土の択捉島とウラジオストクを結ぶ航空会社の定期便も開設され、北方領土の自国領を既成事実化する試みとも報じられている。これら交通に絡む活発な動きの背景としてロシア経済はどうなっているのか。今回は諸外国との貿易関係から検討していく。

 ロシアとウクライナの戦争が長期化するなか、経済制裁によるロシア経済の疲弊が指摘されている。しかし、ロシアの経済活動は活発であり、国際貿易も盛んに行われているようだ。

 ロシアの貿易動向は、特に日本企業にとって重要な指標である。ロシア連邦税関局が「ロシア連邦外国貿易通関統計」を公表していた時期のデータは、日本のロシアNIS貿易協会・ロシアNIS経済研究所の分析に広く利用されていた。これらの機関は、ロシアとNIS諸国(ソ連解体後の独立国家)の経済分析において最も信頼できる情報源とみなされている。

 2022年2月以降、ロシア連邦税関局は統計の公表を停止した。これは2023年3月まで続いた。その後、公開されたデータはHSコード(国際条約に基づく商品分類番号)による輸出入金額のみで、数量や国別の詳細は非公開のままである。

 ただ、「ロシアNIS調査月報」2023年8月号によると、限られた情報に基づいても、2022年のロシア貿易の全体像は明らかになりつつある。

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