意外と知らない? EVの価格はなぜ「ガソリン車」より高いのか

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EVの価格はなぜ高いのか。これは、クルマそのものにさほど興味がない人でも、EVの価格を聞けば当然抱く感想だろう。

リチウムイオンバッテリーの希少性

EV充電のイメージ(画像:写真AC)
EV充電のイメージ(画像:写真AC)

 では、なぜEVに使われる動力機器は高価なのだろうか。まず、バッテリーの存在が大きい。現在、EVに使われているバッテリーは、過去にはニッケル水素バッテリーの例もあるが、ほとんどがリチウムイオンバッテリーである。

 製造にはニッケル、コバルト、マンガンなどの金属が不可欠である。近年、コバルトの代わりにリン酸鉄を使う製法が注目されているが、電池としての性能はコバルトを使ったものに劣るといわれている。

 ニッケル、マンガン、コバルトのなかで、コバルトは最も希少で高価であり、市場での価格変動も大きい。現在、コバルトの埋蔵量は約700万tと推定されており、需要増のなかでメーカーが最も供給動向を懸念している素材である。一方、ニッケルの埋蔵量は約9500万t(コバルトの約14倍)と推定されている。マンガンは約15億t(コバルトの約214倍)と桁違いに多い。

 一方、内燃機関車におけるバッテリーに相当するのは、燃料タンクとそこに貯蔵されるガソリンや軽油である。タンクは鉄や樹脂でできている。ガソリンも軽油も原油から精製される。その価格は、リチウムイオンバッテリーよりもはるかに安い。まずいえるのは、この部分で価格差が大きいということだ。

 EV以外の機器で、リチウムイオンバッテリーの価格が高いことは多くの人が知っている。例えば、

デジタルカメラのバッテリー
スマートフォンのバッテリー
ノートパソコンやタブレット端末のバッテリー

である。日常生活でこれらの単体価格をあまり気にしなかった人ほど、必要に迫られて買い替えたときに、その価格に驚くことになる。

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