物流の未来を担う「コンテナ鉄道輸送」 モーダルシフトの鍵は「低床貨車」である

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モーダルシフトの鍵となるのは、国際海上コンテナを輸送できる低床貨車の開発である。歴史を振り返る。

コンテナ船の普及

コキ73形(画像:MaedaAkihiko)
コキ73形(画像:MaedaAkihiko)

 モーダルシフトの鍵となるのは、国際海上コンテナを輸送できる低床貨車(車輪が小さく、コンテナを載せる床面の位置が低い貨車)の開発である。なお、モーダルシフトとは、自動車による貨物輸送を環境負荷の少ない鉄道や船舶に転換することを指す。

 海運におけるコンテナ化は、1966年に米国のシーランド社が北米と欧州を結ぶ航路にフルコンテナ船を導入したことから始まり、世界的に普及した。翌1967年には、マトソン社が日本と米国西海岸を結ぶ航路にコンテナ船を投入。日本の船会社もこれに触発され、本格的なコンテナ輸送を開始した。

 国際海上コンテナの鉄道輸送に対する要請に応え、国鉄は速やかに開発に着手した。1968(昭和43)年には、国際海上コンテナ輸送に特化した

・コキ9100形貨車
・コサ900形貨車

をそれぞれ2両作り、試験走行を行っている。同年、41tを積載可能なコキ1000形と35tを積載可能なチキ5000形も導入され、輸送体系の強化が図られた。1977年には、国際海上コンテナ専用の直通列車が神戸港と西名古屋港間で運行を開始している。

 国際海上コンテナの鉄道輸送は早くから導入されていたが、日本での普及は遅かった。なぜなら、コンテナサイズがガラパゴス化していたためである。

 コンテナサイズは、世界各国の物流で使われることを前提に国際標準化機構(ISO)が定められている。そのなかで主として使われているのは、

・20ft
・40ft

のコンテナだ。しかし、日本国内の航路では

「物流単位が小さい」

という理由で、12ftのコンテナが広く普及していた。国鉄もこれに合わせて12ftのコンテナを主流とした(11ftのものも多く使われている)。このこともあって国際海上コンテナの鉄道輸送は拡大しなかった。

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