物流の未来を担う「コンテナ鉄道輸送」 モーダルシフトの鍵は「低床貨車」である

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モーダルシフトの鍵となるのは、国際海上コンテナを輸送できる低床貨車の開発である。歴史を振り返る。

低床貨車の試み

コキ200形(画像:Alt winmaerik)
コキ200形(画像:Alt winmaerik)

 とはいえ、国鉄時代から現在のJR貨物に至るまで、一貫して国際海上コンテナの輸送量を増やそうという動きは続いている。国際的に普及している20ftや40ftのコンテナは、積み替えが不要で一貫輸送が可能なため、大きな収益が期待できるからだ。

 1987(昭和62)年、JR貨物は国際海上コンテナに対応したコキ100形貨車を導入し、2000(平成12)年にはさらに能力を高めたコキ200形を開発した。これらの貨車は、それぞれ20ftのコンテナを2個または40ftのコンテナを1個搭載できる設計となっている。ただ、これらの貨車にはいくつかの問題点が存在した。

 特によく採用される高さ40ftのハイキューブコンテナは、全高が2896mmもある。そのため、貨車に積んだ状態ではトンネルを通過することが難しい。そのため、40ftのハイキューブコンテナは現在、東京貨物ターミナル~盛岡貨物ターミナル間の輸送のみとなっている。

 この制約を克服するため、2016年に革新的な低床貨車コキ73形が開発された。この新型貨車は、車輪を小さくすることで低床化を図ったもので、モーダルシフトに大きく貢献する可能性があるとされた。

 しかし、その特殊な構造から、車両コストやメンテナンスコストが高いため普及しておらず、現在生産されているのは4両のみ。JR貨物の2023年度事業計画では、コストの問題から増備は見送られている。

 国際海上コンテナの鉄道輸送に低床貨車が不可欠であることは明らかである。しかし、一定量以上の需要が見込めなければ、赤字を垂れ流すことに陥りかねない。国際海上コンテナの鉄道輸送拡大は国鉄時代から一貫しているが、依然としてコスト高がネックとなっているのだ。

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