飛行機の着陸後、機体が「完全に停止するまで」席を立ってはならないワケ

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離陸後、航空機が高度約3000mまで上昇すると、シートベルト着用サインは消灯することが多い。楽をするためにブランケットの下でこっそりシートベルトを外す……という人もいるかもしれない。しかし危険である。

サインの舞台裏

飛行機。2023年2月撮影(画像:加藤舞)
飛行機。2023年2月撮影(画像:加藤舞)

 安全な空の旅を終え、目的地の滑走路に着陸した航空機は、割り当てられた駐機場に向かう。

 機体が完全に停止するまで「シートベルト着用サイン」が点灯したままだが、機内にいると機体の移動速度が遅く感じられるため、ゲートまでの移動中でもシートベルトを外し、席を立って頭上の荷物を取り出そうとする人が少なからずいる。

 そんなとき、ジャンプシートに座るキャビンアテンダント(CA)が機内アナウンスで

「まだお席からお立ちにならないでください」

と言うのを見たことがあるかもしれない。高度1万mの上空では、地上とは異なるさまざまなルールがある。最も重要なルールのひとつがシートベルト着用サインだ。

 普段何気なく見ているシートベルト着用サインは、いつ点灯するのだろうか。サインは自動ではなく、機長が手動でオン・オフを切り替える。タイミングは航空会社によって若干異なるが、実は着陸前、飛行中、離陸後の3段階に点灯基準が存在するのだ。

滑走路事故の教訓

シートベルト着用サインのイメージ(画像:写真AC)
シートベルト着用サインのイメージ(画像:写真AC)

 まず離陸前、すべての乗客が搭乗を終え、最後のドアが閉まった直後に点灯する。ブリッジとタラップが機体から取り外され、機体が滑走路に向かう前に点灯するようになっている。

 機内にいるときは機体の速度を感じないが、旅客機が滑走路を進む速度は時速約60kmとかなり速い。急ブレーキや不測の事態で機体が大きく揺れると、シートベルトを締めていない場合、体が機体の前方に思い切り投げ出される可能性がある。

 2023年6月の羽田空港でのエバー航空とタイ航空の接触も、滑走路への移動中に起きた事故だった。

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